「軽いは正義」。
UNTHINKで、これから何度も使うことになる言葉だと思う。
ただ、ここでいう「軽い」は、単純にモノの重量だけを指しているわけではない。
もちろん、持ち歩くモノは軽いほうがいい。
バッグも、靴も、ガジェットも。
同じ役割を果たすのであれば、私はできるだけ軽いものを選びたい。
けれど40代になって感じるようになったのは、私たちが日々背負っている「重さ」は、目方では測れないもののほうが多いということだった。
モノを所有すること。
毎月お金を払い続けること。
管理すること。
たくさんの選択肢から選ぶこと。
大量の情報を受け取ること。
そして、それらについて考え続けること。
どれも、はかりに乗せることはできない。
それでも積み重なると、暮らしは少しずつ重くなる。
私が言う「軽いは正義」とは、そういう重さまで含めた話だ。
以前、モノを減らせば身軽になると思っていた時期があった。
実際に減らしてみると、部屋は片付いても、なぜか気持ちまでは軽くならないことがあった。
今振り返ると、それは当然だったのだと思う。
重さの正体は、モノの数だけではなかったからだ。
モノが軽い
これは一番わかりやすい。
以前の私は、モノの重量をそれほど気にしていなかった。
気に入ったものなら、多少重くても構わない。むしろ、重厚感に価値を感じることさえあった。
今は少し違う。
毎日持ち歩くバッグ。腕時計。靴。スマートフォン。旅行へ持っていく荷物。
一つひとつは数百グラムの違いでも、一日中身につけたり、持ち歩いたりすると意外に大きい。
軽いものを使うと、身体への負担が減る。持ち出すことをためらわなくなる。移動もしやすくなる。
ただし、軽ければ何でもいいわけではない。
軽くても使いにくければ意味がないし、耐久性を犠牲にして頻繁に買い替えるようでは、私が求める軽さとは少し違う。
必要な性能を満たしたうえで、軽い。
それが理想だ。
所有が軽い
モノには、買った後にも重さがある。
置き場所を考える。
掃除する。
手入れする。
壊れたら修理する。
買い替えるか考える。
不要になれば処分する。
高価なものなら、傷や盗難が気になることもある。
所有するということは、そのモノを管理する役割まで引き受けることでもある。
以前は「買えるかどうか」を考えることが多かった。
今は「持ち続けたいか」まで考えるようになった。
所有することで得られる満足と、所有することで増える管理。
その両方を見て、それでも残したいものを選ぶ。
数が少なければいいわけではない。
自分が無理なく扱える範囲に収まっているか。
今は、そこを見るようになった。
お金が軽い
安ければいい、という意味ではない。
私が軽くしたいのは、毎月自動的に出ていく固定費や、よく分からないまま払い続けているお金だ。
通信費。保険。サブスクリプション。クレジットカードの年会費。銀行口座や各種サービス。
一つひとつは小さくても、増えるほど管理するものも増えていく。
契約内容を確認する。更新日を覚えておく。値上げを気にする。解約条件を調べる。
使っているのは、お金だけではない。
管理するための時間も使っている。
一方で、価格だけを理由に安いものを選び、使いにくさを我慢するのも違うと思っている。
必要なところには使う。
必要のないところからは引く。
金額そのものより、お金との付き合い方をシンプルにしておきたい。
管理が軽い
最近、モノやサービスを選ぶとき、こう考えるようになった。
「これを持つと、管理するものが増えないか」
便利そうなサービスでも、アカウントが一つ増える。
カードを一枚増やせば、明細や有効期限を管理する必要がある。
銀行口座を増やせば、残高やログイン情報を把握しておかなければならない。
ガジェットを増やせば、充電器やケーブル、アプリ、アップデートも増える。
便利になるはずなのに、その便利さを維持するための仕事が増えていく。
こうした矛盾は、思っているより多い。
新しいものを導入するときは、得られる便利さだけではなく、その後に発生する管理まで見る。
長く使うものほど、管理が軽いほうがいい。
最近は、便利さと同じくらいそこを見るようになった。
選択が軽い
以前は、選択肢は多いほうが自由だと思っていた。
服がたくさんある。
靴がたくさんある。
クレジットカードがたくさんある。
通信回線やサービスをいくつも契約している。
選択肢が多ければ、その時々で最適なものを選べる。
確かに、そういう面もある。
ただ、選択肢が増えるほど「今日はどれにするか」を考える回数も増える。
一回の判断は小さくても、それが毎日積み重なる。
だから最近は、「少数精鋭」という考え方が好きだ。
何でも一つにする必要はない。
用途が違えば、複数あってもいい。
ただ、それぞれに役割があり、迷わず使い分けられる程度にしておく。
選択肢をなくすのではなく、迷わなくていい状態をつくる。
それだけで、毎日の判断は少し軽くなる。
移動が軽い
荷物が少ないと、動きやすい。
これは旅行をするとよく分かる。
大きなスーツケースを引いて歩くのと、小さなバッグだけで移動するのでは、同じ旅でも感覚が違う。
階段を使える。電車を乗り換えやすい。予定を変更しやすい。ホテルを移ることへの抵抗も少なくなる。
暮らしも同じなのかもしれない。
所有物や固定費、契約が増えるほど、場所を変えることは難しくなる。
住む場所を変える。
働き方を変える。
旅に出る。
新しい環境へ移る。
何かを変えようとしたとき、それまで積み上げてきたものが足かせになることがある。
これから先、私は一つの場所にすべてを固定するより、必要に応じて動ける余白を残しておきたい。
そのためにも、暮らしそのものを重くしすぎたくない。
情報が軽い
モノを減らしても、頭の中がいっぱいなら軽くはならない。
スマートフォンを開けば、ニュース、SNS、メール、動画、広告が絶えず流れてくる。
知りたいことだけでなく、知らなくても困らないことまで入ってくる。
情報が増えると、判断することも増える。
これは必要か。
本当なのか。
買ったほうがいいのか。
自分にも関係があるのか。
気づかないうちに、頭の中に小さな判断が積み重なっていく。
情報を遮断して暮らしたいわけではない。
必要な情報にはアクセスしたい。
ただ、すべてを追いかける必要もないと思うようになった。
知らなくていいことは、知らないままでいい。
それも一つの引き算だと思っている。
軽さは、何も持たないことではない
ここは、UNTHINKで一番誤解されたくないところかもしれない。
私は、何も持たない暮らしを目指しているわけではない。
好きなモノは持ちたい。
旅行にも行きたい。
クルマも好きだ。
ガジェットも好きだ。
必要だと思えば、お金も使う。
ただ、何かを手に入れるとき、その価値だけではなく、その後に増える「重さ」まで考えたい。
重量。
所有。
費用。
管理。
選択。
移動。
情報。
それらを全部含めて、それでも自分の暮らしに残したいと思えるか。
以前は「欲しいか、欲しくないか」で選ぶことが多かった。
今はそこに、
「これは自分を重くしないか」
という基準が加わった。
軽さそのものが目的ではない。
余計な重さを減らすことで、本当に残したいものを無理なく持ち続ける。
UNTHINKでいう「軽さ」は、たぶんそういうことだ。
必要なものを、必要なだけ。
余計な重さは背負わない。
軽いは正義。

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