最近、情報漏洩のニュースを目にすることが増えた。
企業へのサイバー攻撃。個人情報の流出。ネットサービスへの不正ログイン。
以前なら、どこか遠い世界の出来事のように感じていたかもしれない。
しかし、今は違う。
私たちは日常的にネットショッピングを利用し、銀行口座やクレジットカードをインターネット上で管理している。
スマートフォン1台に、生活の重要な情報が詰まっている時代だ。
便利になった一方で、リスクも身近なものになった。
インターネットは、すでに攻防の最前線にある
「ネットの世界は、すでに戦争状態にある」
そんな表現を耳にすることがある。
実際、世界では国家を背景とするサイバー攻撃や、金銭を目的とした犯罪集団による攻撃が続いている。
狙われるのは政府機関や大企業だけではない。
私たちが普段利用するサービスも、その対象になり得る。
十分な予算と専門家を抱える組織でさえ、攻撃を完全に防ぐことは難しい。
もちろん、すべての情報漏洩が国家による攻撃というわけではない。企業の管理ミスや設定の不備が原因になることもある。
それでも、一つ確かなことがある。
自分の情報を預けている企業が、必ず守ってくれるとは限らない。
では、個人には何ができるのだろうか。
一つの情報漏洩が、別の被害につながる
例えば、ある通販サイトで使用していたメールアドレスとパスワードが漏洩したとする。
もし、そのパスワードをほかのサービスでも使っていたらどうなるだろう。
攻撃者は、同じメールアドレスとパスワードを使って、別のサイトへのログインを試みるかもしれない。
これを「パスワードリスト攻撃」という。
通販サイトから漏れた情報が、SNSやメール、別の会員サービスへの不正ログインにつながる可能性があるのだ。
そのため、まず見直したいのがパスワードの使い回しだ。
同じパスワードを、複数のサービスで使わない。
単純なことだが、非常に重要な対策になる。
何十個ものパスワードを覚える必要はない
とはいえ、サービスごとに異なるパスワードを設定するのは大変だ。
ネット銀行、ショッピングサイト、SNS、メール、各種会員サービス。
利用するサービスが増えれば、覚えるパスワードも増えていく。
すべてを記憶するのは現実的ではない。
そこで役立つのが「パスワード管理アプリ」だ。
これは、たくさんのパスワードを暗号化して保管する、いわばデジタルの金庫のようなもの。
複雑なパスワードを自動で作り、必要なときに入力を補助してくれる。
私自身は、2019年からBitwarden(ビットウォーデン)というアプリを利用している。
パスワードを適切に管理することは、日々の管理負担を軽くすることにもつながる。考え方の背景は軽さは、重さでは測れないでも触れている。
基本的な機能は無料で、スマートフォンとパソコンの両方から利用できる。
もちろん、Bitwardenだけが選択肢ではない。
すでに別の信頼できるパスワード管理アプリを使っているなら、無理に乗り換える必要もない。
重要なのは、パスワードの使い回しをなくし、安全に管理することだ。
パスワードだけでは守りきれない
もう一つ設定しておきたいのが「二段階認証」だ。
これは、パスワードに加えて、別の方法でも本人確認をする仕組みのこと。
例えば、ログイン時にスマートフォンの認証アプリで確認する方法などがある。
仮にパスワードが漏れてしまっても、それだけではログインできないようにするための対策だ。
最近では、指紋認証や顔認証、端末のロック解除などを利用する「パスキー」という仕組みも広がっている。
パスキーは、偽のログインサイトにだまされる危険を減らせるという利点がある。
ただ、難しく考える必要はない。
まずは自分が利用しているサービスで、どんな認証方法が使えるのかを確認してみたい。
特にメール、銀行、GoogleやAppleなどの重要なアカウントは優先したいところだ。
使っていないアカウントも見直す
さらに、パスワードを守ることに加えて、考えておきたいことがある。
そもそも、そのサービスを今も使っているだろうか。
一度だけ利用した通販サイト。
何年もログインしていない会員サービス。
登録したことさえ忘れているアプリ。
こうしたアカウントにも、個人情報が残っている可能性がある。
使っていないサービスを放置することにも、一定のリスクはある。
もちろん、退会すればすべての情報が完全に消えるとは限らない。
購入履歴や保証など、残しておいた方がよい情報もある。
それでも、今後使う予定のないサービスを整理することには意味がある。
不要なアカウントを減らせば、管理する手間も減る。
何より、自分の情報をどこに預けているのか、把握しやすくなる。
今日からできる、5つの防衛策
ここまで読んで、少し面倒だと感じたかもしれない。
でも、すべてを一度に終わらせる必要はない。
まずは次の5つを、できるところから始めてみたい。
- メールのパスワードを見直す
メールは、ほかのサービスのパスワード再設定にも使われる。特に重要なアカウントだ。
- パスワードの使い回しをやめる
サービスごとに異なる、長く推測されにくいパスワードを設定する。
- 二段階認証やパスキーを設定する
メールや金融サービスなど、重要なものから順番に確認する。
- 使わないアカウントを整理する
必要なデータや契約を確認したうえで、不要な登録を見直す。
- 怪しいメールやSMSのリンクを開かない
情報漏洩やアカウント停止を知らせる連絡が届いても、慌ててリンクを押さない。公式サイトや公式アプリから確認する。
もし実際にパスワードが漏洩した場合は、同じパスワードを使っているすべてのサービスで、速やかに変更したい。
自分の情報は、自分でも守る
これからも、情報漏洩のニュースがなくなることはないだろう。
技術が進歩すれば、攻撃する側の手法も変わっていく。
企業や行政による対策は必要だが、私たちもすべてを任せきりにはできない。
だからといって、インターネットの便利さを手放す必要もないと思う。
使うサービスを見直し、パスワードを適切に管理する。
必要な備えは残し、不要なものは減らしていく。
完璧な防御は難しくても、被害に遭うリスクを下げることはできる。
大きなことを始めなくてもいい。
まずは、今日使ったサービスのパスワードを一つ見直すことから。
備えよ、常に。


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